夢見る町の住人たち1
序章 一通の手紙
一通の手紙が届いた。差出人は聞いたこともない名前だった。
不審に思いながらも封を解く。入っていたのは一通の便せんだけだった。丁寧に三つ折りしてある。
便せんに目を通す。真ん中の行になにか書いてある。
……!!
便せんが手の中から落ちる。床に落ちた便せんを拾いもせず、私は呆然と立ち尽くす。手紙の内容は最悪だった。
短い文面で簡潔に書いてあるそれは私の未来の幸福をいとも簡単に壊してくれた。
それには、こう書かれてあった。
『カウンテス、パーラフェイズで死す』
なんとも分かりやすい手紙である。カウンテスとは私の夫で、騎士として戦争に参加していた。つい、この間戦争は終わったばかりだった。結果は私たちの国の勝ちだった。
夫は帰ってくるはずだった。しかし、どうやら死んでしまったらしい。私のところには帰ってこないらしい。
死んだ直後に戦争が終わるとは、なんて運がないことか…
私は目頭が熱くなっていくのを感じた。
後は感情に任せて泣き叫ぶしかなかった。この世の全てを罵りながら…