夢見る町の住人たち14





終章 始まりの予感

 あれから、いくつの時が過ぎたのだろう?
 パーラフェイズの町はどうなったのだろうか。
 今日の月は青い。あの日の月のように。
 予感がする。これからなにかが始まる予感が。
 祈りが届く。幸せになれるようにと祈った想いが叶う。
 いや、もうとっくに叶っていたのかもしれない。
 とにかく彼はここに来る。
 幸せになった彼がここに来る。
 レイピアは白くなったのだろうか?
 彼に笑顔が戻ったのだろうか?
 長い時を経て彼はどんなふうに変わったのだろうか?
 いそいそと客人を迎える用意をする。もちろん用意するカップは私を入れて三つ。
 コンコン。
 ドアが鳴る。
 彼が来た。
 私は急いでドアを開けた。
 そこには成長した彼の姿があった。
 そしてもう一人、隣に小柄な子が立っている。二人は幸せそうに笑っていた。
 私は二人に負けないくらい幸せな笑みを浮かべる。
「ようこそ、ラウル君」



(終)

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